※個人的に重要だと感じますので、長文になりますがお許しください。
(事務局長 木原浩貴)
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先日、ダイヤモンド・オンラインに『住宅用太陽光発電の誤算、「10年で投資回収」は大ウソだった』という記事が掲載されました。
これに対し、ソーラーパートナーズさんや江守正多さんが、間違いを指摘するもしくは違和感を表明する記事を書かれています。また、ダイヤモンド・オンライン自体が「事実誤認がありました。同じ前提による正しい試算では、10年で投資はほぼ回収され、記事の見出しにある『大ウソだった』 は覆ることになります」として記事の削除を表明しています。
ただ、もともとの記事はyahoo!ニュースでも取り上げられており、他のサイトやSNSでも引用されていましたので、目にされた方が多いと思われます。そこで、私からもあらためて「この記事は間違いだった」ということをお知らせしたいと思います。また、多少の私見を述べさせていただきたく思います。
記事中のAさんの件について、ソーラーパートナーズさんの解説がわかりやすいと思います。「ダイヤモンド・オンラインの記事には有料点検費用やパワコン交換費用が含まれていない」という指摘も重要です。加えて、初期投資が「オール電化改修工事も含む」数字であるという点にも注意が必要で、つまり太陽光発電だけならばさらに安く設置できているはずです。
さて、Bさんの件について。「こちらは計算方法を修正しても10年では大赤字じゃないか!」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、もう少し注意深く見る必要がありそうです。
記事によると、Bさんは「2018年」に「新築」で太陽光発電システムを設置されたようです。その価格は、7.62kWで360万円、つまりkWあたり47.2万円です。しかし、調達価格算定委員会の資料によれば、2017年の新築時設置平均価格は35.4万円です。(私たちが工務店さんたちにお聞きしている話によれば、現在ではもっと低い価格で設置できる可能性が充分にあると思います。7.62kWという大きなシステムですからなおさらです)。
つまりBさんは、平均よりもかなり高い単価で設置しているのです。何らかの特殊事情があったのかもしれませんが、であるならばなおさら『住宅用太陽光発電の誤算、「10年で投資回収」は大ウソだった』という記事で取り上げるには適さない事例であると、私は思います。
おわりに。
このような誤った記事が配信され、太陽光発電のイメージが悪化するのは、私としてはとても悲しいです。
もちろんメガソーラーによる自然破壊の問題など、議論しなければならないことはありますが、江守さんが書いておられる通り、これとは分けて議論されねばなりません。
さらに悲しいのは、この記事を引用し、さらに辛辣なコメントをつけてSNSで拡散している人が少なくないということです。
「この記事は間違っていた」という情報は、おそらく最初の記事のようには拡散されないでしょう。そして、誤った情報が多くの人の心に残ってしまうのでしょう。それを考えると、胸のあたりが苦しくなります。
最後にもう一つ。
これはこの記事とは直接の関係はありませんが、太陽光発電を「金銭的にどれだけ得をするか」だけで判断する風潮に、私は違和感を覚えます。もちろん金銭面の評価は重要ですが、昨今の自然災害の増加をみたとき、倫理的な価値判断がもっと重視されても良いのに、と感じています。
posted by center at 18:00|
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